学力推定システムについて
掲載月日
2018年05月22日
概要
慶應義塾大学こどもの機会均等研究センター(CREOC)では、パネルデータ設計・解析センターが2010年から実施していた日本子どもパネル調査(JCPS)で利用している学力調査項目を用いて、小学1年から中学3年までの学力を共通の尺度上で表現する推定システムを完成させました。
学力テストは、一般に、学年別に異なるテスト項目を利用しているため、異なる学年間での学力の水準の比較が困難でした。このたびCREOCでは、共通の尺度得点を得るために、東京都内の複数の公立小中学校のご協力を得て、隣接する学年の生徒に共通の問題を解いてもらいました。
このデータに、項目反応理論と呼ばれる統計モデルを当てはめることにより、JCPSで用いているすべてのテスト項目の特徴を示すパラメータを推定することができました。さらに、テスト項目に対するパラメータの推定値を利用して、統計モデルの基礎となる、小学1年から中学3年にいたる共通の母集団における学力推定値を得ました。
図1、2で示したのは、推計されたパラメータ値を利用して、これまでJCPSの調査対象となっていた、全国から無作為抽出された世帯の子どもの国語と数学(算数)の学力推計値の平均を学年別に示したものです。
CREOCでは、引き続き、学力項目の精査と充実を行い、今後、研究者や自治体等向けに、研究・政策目的での学力項目の提供を予定しています。
図1 個人推定学力(国語)
図2 個人推定学力(算数)
表1 JCPS学年別協力者数(2010-2016)