乳幼児の肥満の家庭背景による差の国際比較:母親の就業と保育所利用の影響
掲載月日
2023年05月01日
概要
European Journal of Public Health誌から、英・米・独・仏・蘭・日の六カ国の研究者による共同研究で、乳幼児の肥満と家庭背景の関係の国際比較研究を出版しました。ここでは親の学歴をSES指標とし、特に、保育所と母親の就業がSESが肥満に与える影響をどう修正しているか、各国の大規模長期追跡データを利用、データを比較可能な形で調和させて分析、比較しました。日本については、21世紀出生児縦断調査(2010)を用いており、他国と比較して、肥満傾向の乳幼児は少なく、またどのSESグループでも母乳育児の割合が高くなっていました。SESグループ間の差は少ないものの、低SESグループの場合や、低SESグループの乳幼児を16時間以上の保育ケアに預けている場合、母親が雇用されている場合において、肥満傾向のリスクが高くなることが分かりました。
Lidia Panico(Centre for Research on Social Inequalities), Liz Washbrook(University of Bristol), Jane Waldfogel(Columbia University), Renske Keizer(Erasmus University Rotterdam), Sabine Weinert(University of Bamberg)、赤林英夫(慶應義塾大学)、亀山友理子(慶應義塾大学)、野崎華世(大阪経済大学)を中心とした国際チームがJSPS-ORAプロジェクトの成果として執筆しました。
書誌情報
Panico, Lidia, Cesarine Boinet, Hideo Akabayashi, Sanneke de la Rie, Sarah Jiyoon Kwon, Yuriko Kameyama, Renske Keizer, Kayo Nozaki, Valentina Perinetti Casoni, Anna Volodina, Jane Waldfogel, Sabine Weinert, and Elizabeth Washbrook. 2023. "International Differences in Gradients in Early Childhood Overweight and Obesity: The Role of Maternal Employment and Formal Childcare Attendance." European Journal of Public Health 33(3):468–75.