奨学金の負債が若者の家族形成に与える影響

掲載月日

2024年02月06日

概要

Studies in Higher Education 誌より、奨学金負債が若者の家族形成に与える影響を検証した論文を出版しました。貸与型奨学金は高等教育進学の下支えとなる一方で、負債としての側面から若年者のライフイベントへの影響が懸念されてきました。「パネルデータ設計・解析センター」(PDRC)と「こどもの機会均等研究センター」(CREOC)が共同で収集した「JHPS第二世代付帯調査(JHPS-G2)」データを用いて、我が国で始めて、貸与型奨学金が婚姻および出生に与える影響を、全国データにより分析しました。その結果、特に2年制高等教育を受けた女性において、貸与奨学金を受給したグループは受給していないグループに比べ、結婚のタイミングが遅く、子供の数も少ないなど、奨学金の家族形成への影響が定量的に明らかになりました。このことは、奨学金制度の設計において、家族形成への影響に配慮することの重要性を示しています。
王杰(慶應義塾大学)、赤林英夫(慶應義塾大学)、佐野晋平(神戸大学)、小林雅之(桜美林大学)による共著です。

書誌情報
Jie Wang, Hideo Akabayashi*, Masayuki Kobayashi, and Shinpei Sano. “Student loan debt and family formation of youth in Japan”. Studies in Higher Education. 

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